いまさらだけど、コロナに罹ったこと

3月初旬にコロナに罹患した。まったくの言い訳でしかないが、この時期のコロナ株JN.1は以前よりさらに感染性が増していたようだ。

コロナの最前線で働いている医療関係者が多く感染し、初期には亡くなる医療関係者も外国では多かった。自分も初期からコロナ診療に携わってきたが、幸いにしてそれほど壊滅的な環境で働くことはなく、自分が感染することは全く想定していなかった。自分自身の感染対策は間違いがないという確信があった。しかし、有名な忽那先生もコロナに罹っていたようだし、絶対ということはないのだと、今更ではあるが、自分を戒めている。

その日の夕方からノドの右側だけ何かイガイガするなあと思っていたら、翌日からその症状が増悪。咳も続けて出るようになった。体がすこしだけ火照るような感じがしたが、熱はなかった。初日に抗原検査して陰性だったので油断していたが、1日弱経ってから病院の自分の部屋に戻って抗原検査したら、すぐにくっきりと二本線が現れた。

ノドの症状が出る直前にコロナの入院患者の部屋でマスクをずらして鼻を搔いてしまったことが原因かと思ったが、ちょっと症状が出るには早いし、外来で何人かの咳の患者の診察をしていて、最近も目の前でFeNO測定手技をやらせている。その辺の可能性の方が高いか。

当日は自分の部屋で事務的な作業をしてから帰った。そのあと病院の規則(自分で決めたのだが)で1週間、自宅隔離となった。去年妻子がコロナになったときと同様、空き家になっている妻の実家の建物での生活になったが、妻が頻繁に食事を持ってきてくれるので、食事の心配はあまりなかったが、3月になったのに寒い日が続き、雪も連日のように降っていたので、夜の寒さがこたえた。

診断当日からゾコーバをのんだが、2~3日は頭が重く、全身がだるい感じが続いた。高熱は出なかったが、インフルエンザに似た症状だと思った。また、痰が絡まって出ない感じと発作性の咳嗽が出現した。多くのコロナ後遺症の患者が言っていた症状がこれだなと実感した。全身の倦怠感が和らいだ後は、積極的に運動するようにしていた。平日のほぼ誰もいない森林公園を走るのは爽快だったし、もしかしたら運動でコロナの炎症が早めに収まってくれるのではないかという考え、こんなことで体力低下させてられないという思いもあった。

痰の絡まる感じは、食後に悪化して、運動で軽減した。気道よりも上部食道に粘液が溜まっていて、運動によってそれが移動するのかもしれない。これは、人それぞれだろう。1週間して、隔離先から自宅に戻ったときにメトホルミンがあったので数日内服していたが、その間はすこし良かったような気がした。のむのをやめた後、痰詰まり症状は増悪して、10日間くらい常に咳払いをしているような感じになった。意を決してメトホルミン内服を再開した。もともとヘモグロビンA1c値が少し高めだったし、しばらく続けるつもりで処方してもらった。これまでメトホルミンを処方したコロナ後遺症の患者のうち何人かは、飲み始めてすぐに楽になったと言っていたが、自分の場合はそのようなことは起きなかった。しかし、飲み始めて3~4日した頃に痰のボリュームと硬さが減っていることに気付いた。咳払いも常にしている感じではなくなっていた。1週間後には使用するティッシュペーパーの量も格段に減っていたし、夜も楽に眠れるようになっていた。

1か月経った今も症状はすこしある。たまに発作性に咳が出ることもまだある。黄砂の刺激か、花粉症か、外にいるとノドに痰が詰まってくる感じが戻ってくる。コロナ後、過敏性が亢進しているのだろう。