いまさらだけど、コロナに罹ったこと

3月初旬にコロナに罹患した。まったくの言い訳でしかないが、この時期のコロナ株JN.1は以前よりさらに感染性が増していたようだ。

コロナの最前線で働いている医療関係者が多く感染し、初期には亡くなる医療関係者も外国では多かった。自分も初期からコロナ診療に携わってきたが、幸いにしてそれほど壊滅的な環境で働くことはなく、自分が感染することは全く想定していなかった。自分自身の感染対策は間違いがないという確信があった。しかし、有名な忽那先生もコロナに罹っていたようだし、絶対ということはないのだと、今更ではあるが、自分を戒めている。

その日の夕方からノドの右側だけ何かイガイガするなあと思っていたら、翌日からその症状が増悪。咳も続けて出るようになった。体がすこしだけ火照るような感じがしたが、熱はなかった。初日に抗原検査して陰性だったので油断していたが、1日弱経ってから病院の自分の部屋に戻って抗原検査したら、すぐにくっきりと二本線が現れた。

ノドの症状が出る直前にコロナの入院患者の部屋でマスクをずらして鼻を搔いてしまったことが原因かと思ったが、ちょっと症状が出るには早いし、外来で何人かの咳の患者の診察をしていて、最近も目の前でFeNO測定手技をやらせている。その辺の可能性の方が高いか。

当日は自分の部屋で事務的な作業をしてから帰った。そのあと病院の規則(自分で決めたのだが)で1週間、自宅隔離となった。去年妻子がコロナになったときと同様、空き家になっている妻の実家の建物での生活になったが、妻が頻繁に食事を持ってきてくれるので、食事の心配はあまりなかったが、3月になったのに寒い日が続き、雪も連日のように降っていたので、夜の寒さがこたえた。

診断当日からゾコーバをのんだが、2~3日は頭が重く、全身がだるい感じが続いた。高熱は出なかったが、インフルエンザに似た症状だと思った。また、痰が絡まって出ない感じと発作性の咳嗽が出現した。多くのコロナ後遺症の患者が言っていた症状がこれだなと実感した。全身の倦怠感が和らいだ後は、積極的に運動するようにしていた。平日のほぼ誰もいない森林公園を走るのは爽快だったし、もしかしたら運動でコロナの炎症が早めに収まってくれるのではないかという考え、こんなことで体力低下させてられないという思いもあった。

痰の絡まる感じは、食後に悪化して、運動で軽減した。気道よりも上部食道に粘液が溜まっていて、運動によってそれが移動するのかもしれない。これは、人それぞれだろう。1週間して、隔離先から自宅に戻ったときにメトホルミンがあったので数日内服していたが、その間はすこし良かったような気がした。のむのをやめた後、痰詰まり症状は増悪して、10日間くらい常に咳払いをしているような感じになった。意を決してメトホルミン内服を再開した。もともとヘモグロビンA1c値が少し高めだったし、しばらく続けるつもりで処方してもらった。これまでメトホルミンを処方したコロナ後遺症の患者のうち何人かは、飲み始めてすぐに楽になったと言っていたが、自分の場合はそのようなことは起きなかった。しかし、飲み始めて3~4日した頃に痰のボリュームと硬さが減っていることに気付いた。咳払いも常にしている感じではなくなっていた。1週間後には使用するティッシュペーパーの量も格段に減っていたし、夜も楽に眠れるようになっていた。

1か月経った今も症状はすこしある。たまに発作性に咳が出ることもまだある。黄砂の刺激か、花粉症か、外にいるとノドに痰が詰まってくる感じが戻ってくる。コロナ後、過敏性が亢進しているのだろう。

60過ぎの勤務医が田舎町にセカンドハウスを建てる。(3) 農地法第5条、廃棄物処理法第16条など

農地法第5条
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(中略)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可(中略)を受けなければならない。

農地は原則的に購入できない。農地を農地として買う場合であっても、経験のある農家でなければ買うことはできない。この農地法のことを最初から知っていれば、以下に書くことは最初から予測できていた。「農地に家を建てることはできるか?」で検索すると複数のサイトがヒットするが、それを総合すると以下のような流れが想像できる。まずは調べておくべきであった。

話を元に戻す。農家でない人は農地を買うことはできない。ここでこの契約が白紙に戻されるのかと覚悟した。ところが、農地を購入する場合、500平方メートルまでなら、農地に付属する宅地として農地の転用が認められるという抜け道(としか言いようがない)があるということで、その手続きに入るという。畑に行くための6メートル幅の通路を残して、道路に面した土地500平方メートル弱(150坪)の土地を分筆する。そして、その値段を再度決めなおして(とんでもなく割高な土地になってしまったが)、再契約をすることになった。

このあと、農地から宅地への転用の手続きが開始されることになる。土地の分筆とその登記、隣家の承諾書の取得、農業委員会へ提出する書類の作成と提出などがあり、農業委員会で認められたあとに、最終的な売買成立になる。これが、遅々として進まず、半年以上待たされた。建築資材の値段が高騰してきているなかで建築業者も早く工事を開始したいし、妻もせっつくし、毎月不動産会社に進捗状況の確認の電話をするという今までにない経験をした。

普通の土地の売買よりもかなり大変な手続きであることは事実だが、隣家の承諾書の取得に1か月以上かかっているし、時間がかかった一番の原因は不動産会社と行政書士のトラブルとのことだった。しかし、それは、こちらのあずかり知らぬことだ。そして、最後には3日後の農業委員会に提出するためとのことで貯金通帳の残高のページのコピーまで提出させられた。(あとから建築業者に聞くと、全国展開するこの不動産業者さんは他の不動産業者が手を出さないような微妙な土地の売買を多く扱い、対応も少し怪しいのだということだった。まあ、この業者さんがいなければ、始まらなかった話だし、よしとすべきかもしれない。)

まだ、続く。時間がかかったので、最終的な売買が完了する前に地盤調査を開始していいよってことになった。ここからまた一波乱(最後の一波乱であってほしい)。こちらの建築業者が地盤調査をすると、地中になにか「ガラ」がいっぱい埋まっているらしい。これではその上に建物が立てられないとのことだ。そして、掘り起こしてみると白線の入ったアスファルト片等が出てきた。明らかに産業廃棄物である。こちらとしてはアスファルト片が埋まっていようがきちんとした家が建てられれば良いが、これで余計な費用が掛かるのは勘弁してほしい。今度はしっかりとネットで学習してから対策を立ててから臨むことにした。

農地に廃棄物を埋めるのは、上の農地法のほか廃棄物処理法にも違反する。そのような行為を行ったものは、それを撤去しなければならない。この時点で農地の転用は認められており、農地法は適用されないかもしれないが、明らかに違法投棄である。土地は20~30年前に売主さんが誰かから譲渡されたもののようで、売主さんは知らなかったようだが、責任は売主さんにある。そこで、まず、このことに係る余計な費用を払うつもりはない、場合によっては土地売買は不成立になると建築業者と不動産業者に対して宣言し、対処してもらうことにした(こういうところにセカンドハウスの気軽さが出る。本チャンの自宅建設だったらこうはならないか?)。彼らと何度も連絡を取って、最終的に、埋まっているものをすべて撤去するのではなく、建物を建てるときにかかる余計な費用を売主さんに負担していただくことで話がついた。1年以上かかって、予定から半年以上が経過してから、土地の売買が完了した。

しかし、あとから考えれば、一年以内とか、建築計画とかは、農地転用のプロセスで求められる条件だったのだ。業者は最初から知っていたとしか思えない。何だったのだろう、この1年以上の苦労・苦痛は。ただの土地売買のはなしなのに。

60過ぎの勤務医が田舎町にセカンドハウスを建てる。(2) 「農地」とは?

妻が探してきた土地は、約23mX約124m(2900平方メートル、883坪)という超細長い「畑」。しばらく耕作されていない野原(草刈りはされている)でまわりの土地には太陽光発電の装置が一面に設置されていたりする、隣の細長い土地は荒れ地で近くの工場の従業員の駐車場になっている。そういう土地だ。これが一般のネットの住宅情報に掲載された。それが掲載されるや妻はすぐにそれを見つけたのだ。住宅地でも上下水道の配管がないところがある町内で、上下水道の配管が来ている。これが、建築条件なし、980万円で売りに出されたのだった。

土地を購入する際に不動産業者に言われたことが、この町の場合、土地を購入してから1年以内に家を建てなければならないという決まりがあり、土地を購入するのに際して、建築計画を示さなければならない、短い間に、建築会社を決めて設計図を完成させなければならない、というものだった。このことがあって、契約書を交わして、手付金を払ってから、家の設計まで一気に進んだ。

ところが、このあとが詐欺のようなはなしになっていく。

最初は、このとんでもなく広い土地で家庭菜園でもすればよいと能天気に考えていたが、そんなはなしではすまないことがあとからわかった(というか、普通の不動産業者なら最初からわかっていたことではないかと思うのだが)。そもそも「田」「畑」という地目の土地は「農家」しか所有することができない。そして「農家」になるためには、

  • 農地のすべてを効率的に利用すること
  • 必要な農作業に常時従事すること(原則年間150日以上)
  • 一定の面積を経営すること(下限面積50a)
  • 周辺の農地利用に支障を与えない利用方法であること

が必要であり、雑草の管理などもしなければならないことになっている(Soil mag. 1号、p60)(1アール:1辺10mの正方形の面積、メートル法の単位(非SI単位)。1坪:中国で生まれた歩の別名、6尺四方の面積。1a = 30坪)。そのうえで、さらに「農家」としての実績を積んだうえで町の農業委員会に「農家」として認めてもらう必要がある。そこでやっと農地が手に入るという仕組みになっている。妻は「知り合いの公認会計士も同じ町内に田んぼを買って、農業もやっている。一緒に農家になればいいじゃない」と気軽に言うが、広い土地で“家庭菜園”という一瞬描いた夢は吹っ飛んだ。そこまで農業をやるつもりはないし、農家をやるには、最低条件として、この土地の倍の面積の農地を購入しなければならない、どこかに弟子入りして農家としての実績も積まなくてはならない。

 

農地法第3条

農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない

農地法第4条

農地を農地以外のものにする者は、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可(中略)を受けなければならない

 とんでもないものに手を出してしまったことにあとから気が付いた。

60過ぎの勤務医が田舎町にセカンドハウスを建てる。(1)職場の近くに家を建てよう。

突然ヘンな話になって申し訳ないが、こんなことにもなっている。これはまだ進行中のはなしなので、書けるところまで。現在進行形なので、かなりゆっくりとしか話が進まない。最終的に家が建たない可能性もまだある。

 

年をとるとセカンドハウスが欲しくなるもののようだ。これまでの勤め先で、その近くに家を建てたいとは考えなかったのに、60歳でこの病院に来てから考えるようになった。いろいろある〇〇欲と呼ばれるもののなかでセカンドハウス欲はかなり年をとってから出現するものなのかもしれない。

わざわざ職場の近くに住むこともないのにと思う人もいるかもしれないが、変な話、この仕事が比較的好きなのだ。そして、長い通勤時間は好きではない(小学生のころから長距離通学・通勤が多かった。近いところから通いたいという願望が子供のころからあった)。

40歳代半ばで大学での勤務をやめてから3つ目の職場になる。勤め先を変わるたびに距離的には少しずつ自宅に近づいてきている。しかし、ここには電車も通っていないし、バスも朝晩一往復くらい。通勤手段としてマイカーしか選択肢がないという職場は初めて。田舎の一本道で、すいている時間帯を選べばそれほどストレスなく通えるが、ときどき渋滞するし、1時間弱の通勤時間のなかでちょっと集中が途切れることもある。それに、私より稼ぎの良い妻に毎朝、はやくから食事を作ってもらうのも申し訳ないし、妻の方も正直ツラくなってきている様子だ。

私の父も妻の父もセカンドハウスを建てた。ふたりとも開業医で、開業医がとても儲かるころに働いていたため、金銭面では苦労することなく、セカンドハウスを建てた。しかし、彼らは生活の場と職場が近接しており、そこから離れることが快適ではなかった。そして、ほとんどそこに行くことなく、死んでしまった。私もセカンドハウスを建てたら、ほとんど住むこともなく死んでしまうのかもしれないという危惧がある。それに何より、金銭的にはセカンドハウスを建てるなんて、薄給の勤務医にはかなりギリギリのラインである。というか、それ以前に、自分の預金残高を知らなかった。つつましい生活というのが大嫌いな妻が、私の給料を生活費に充てていたので、あまり貯まっていないだろうなという予測があった。知るのが怖かった。

そこで、妻に、この田舎町に“ゆくゆくは”家を建ててそこから通勤したいと話をした。60歳を過ぎて“ゆくゆくは”というのもないが、100歳まで健康に生きることを計画すれば、“ゆくゆくは”でも問題はない。この病院の病院長になって給料がとてもよくなったので、それを数年貯めれば、土地代はほとんどタダのようなものだし、できるだけ小さい家にすれば何とかなるかなあという無鉄砲な考えからだった。

恐る恐る話を切り出したのだが、この話に本人よりも妻の方が乗り気になった。土地を買って、家を建てるという行程が好きなのか、面倒な夫となるべく離れて好きに暮らしたいと思っていたのか、わからない。土地を探してきたのも彼女だった。一年以内に家を建てる計画がなければ土地を買えないという町独自のルールがあるので、“ゆくゆくは”という話ではなくなってしまったのに驚いたのは本人のほうだ。不足分があれば、彼女名義の貯金から充てるとも言ってくれている。

(2023年8月に妻と娘がコロナに罹ったため、10日間ほど、今はだれも住んでいない妻の実家の建物に逆隔離のため別居するという経験をしたが、この間、妻は自由に暮らし、私も、いまは物置になっている妻の実家の一室でコンパクトな生活をエンジョイできた。自炊生活に対する自信も芽生えた。妻は、この後、さらに、このセカンドハウス計画に前のめりになってきていたので、妻は、私が考えるよりも前から、自分の趣味に合った生活を追求したいという思いが強くなってきていたのだと思う。)

ついでにというか、これも結構大事な要素なのだが、景色が良いところで病院の近くに小さな家があればいろいろ活用できるかという思いもあった。いろんな人に使ってもらってもいい。私が少し長めの休みを取る際にアルバイトのお医者さんに住んでもらってもいい。この小さな田舎町で毎年音楽フェスが開催される。フェスのあいだフェス好きの看護師さんに使ってもらってもいい。何かの集まりに使ってもらってもいい。自分が集まりを催すのであれば、自分のコンテンツを増やさなければならないなどとも考えた。しかし、このことは妻には話さなかった。他人のために彼女のお金を使うことを彼女は好まないだろうと考えていた。

いずれにせよ、土地の売買の契約をして、建設会社を選んで、家の設計をしてもらってと、家を建てる計画までは、本当にとんとん拍子に話が進んだ。

診断の客観性を対話型AIで担保する

対話型AI(私の場合はbing、というか、いつの間にかCopilot with Bing Chatに名称が変わっていた)とのつきあいは続いている。そのあいだにも医学的な知識を問う問題での対話型AIの有用性を示すネット記事をいくつか読んだ。私の中で、bingを使うことの利点のひとつは、今ある問題点を解決する上でこれ以上ない客観的な視点を確保することであると最近思うようになってきている。これにより、診断時のバイアスを取り除くことができる。

もちろん、病歴を作成する段階が、一番バイアスがかかりやすいので、一回の患者からの病歴聴取で満足せず、いろいろな情報を統合してより完璧な病歴を作成することが大前提になる。下に示すケースでも二つの医療施設からの情報を得て病歴を完成させている。

多くの場合、患者や患者家族、診断者側に強いバイアスがかかっており、診断に際して、客観的な診断からズレてしまうおそれがある。さらに私の場合、少しだけ妄想癖があるので、何か特殊な病態が関わっているのではないかと勘繰る癖が人より強い。複数人で相談すればそのような傾向は修正される可能性も高くなろうが、今はそのような環境にないし、これも絶対的なものではない。複数人で考えたとしても、実際は発言力の強い人間の意見に引っ張られるだろう。bingはこのバイアスの修正をしてくれる。そして、最適解をドライに示してくれる。

ネット上にある情報を検索してくるのだから、今までにない斬新なアイデア、すごく特殊な診断名ということはない。どちらかというと陳腐な結論・診断名の場合の方が多い。しかし、今までこれに結構助けられている。

以下に示すケースでは、以前からこの患者を診ている泌尿器科医からすると尿路感染症一択なのだろうし、冷静に考えればあまり悩むケースでもない。しかし、治りが悪いと、癌の診療に長けていない私は、腫瘍熱やそれに関連した何かわからない特殊な病態を疑ってしまう。患者家族に至っては、認知機能の低下が一番の心配事なので、それと今回の発熱の関係をしつこく聞いてくる。

そこで、すべてを盛り込んだ以下のようなプロンプトを入力する。いつものように日本語から英語に変換したものをbingにつっこむ。

 

原文:「6X歳男性。2年前にurothelial carcinoma, low grade, pTaの経尿道的手術が行われている。1年前にも、上記の再発にて手術を受けている。その後、認知機能の低下がある。今年8月XX日、尿道狭窄のため経尿道的切開術が行われ、尿道留置カテーテルが挿入されている。翌日にこの一連の治療を行った医療機関尿道留置カテーテルが挿入されたまま退院している。更にその翌日に発熱と意識障害が出現したため、救急病院に入院。10日間のCTRX点滴とその後の1週間の抗生剤内服の後に同院を退院した。退院の4日後、再度発熱、意識混濁を認めたため、当院に入院した。入院時のCTでは、異常は認めなかった。血液培養で菌は検出されなかった。白血球数、CRP、プロカルシトニンの高値を認めた。CTRX点滴を1週間行ったが、解熱しなかった。その後、TAZ/PIPCに変更した。4日後に解熱したが、WBCCRPはまだ高い値を維持しており、血小板数の上昇傾向がみられる。現在、まだ尿道カテーテルは挿入されたままだ。発熱の原因は何か?認知機能の低下はこの一連の疾患と関連があるのか?」

 

入力: 6X year old male. Transurethral surgery for urothelial carcinoma, low grade, pTa was performed 2 years ago. One year ago, he underwent surgery for the recurrent urothelial carcinoma. Afterwards, there is a decline in his cognitive function. On August XXth of this year, a transurethral incision was performed due to urethral stricture, and an indwelling urethral catheter was inserted. Next day, he was discharged from the medical institution where he underwent this series of treatments with an indwelling urethral catheter still in place. Next day after the discharge, he developed a fever and impaired consciousness and was admitted to an emergency hospital. He was discharged from the hospital after 10 days of intravenous CTRX followed by one week of oral antibiotics. Four days after being discharged from the hospital, he was admitted to our hospital because he developed a fever and became unconscious again. A CT scan at the time of his admission showed no abnormalities. No bacteria were detected in his blood culture. He had elevated white blood cell count, CRP, and procalcitonin. He received CTRX infusion for 1 week, but his fever did not subside. Then changed to TAZ/PIPC. Although his fever subsided after 4 days, his WBC and CRP still remained high, and his platelet count was on the rise. Currently, the urinary catheter is still inserted. What causes fever? Is cognitive decline related to this group of diseases?

 

以下、bingの反応:

『‘causes of fever in patients with indwelling urethral catheter’ を検索しています

‘causes of fever in patients with indwelling urethral catheter’ を検索しています

‘cognitive decline after urothelial carcinoma surgery’ を検索しています

‘cognitive decline after urothelial carcinoma surgery’ を検索しています

回答を生成しています…

The fever in this patient could be due to a number of factors. One possibility is a catheter-associated urinary tract infection (CAUTI), which is a common complication in patients with indwelling urinary catheters12Symptoms of a CAUTI can include fever, suprapubic or costovertebral angle tenderness, and otherwise unexplained systemic symptoms such as altered mental status, hypotension, or evidence of a systemic inflammatory response syndrome1The Infectious Diseases Society of America (IDSA) guidelines define catheter-associated bacteriuria as culture growth of ≥10^3 colony forming units (cfu)/mL of uropathogenic bacteria in the presence of symptoms or signs compatible with UTI without other identifiable source in a patient with indwelling urethral, indwelling suprapubic, or intermittent catheterization1.

 

As for the cognitive decline, it could be related to the surgeries the patient has undergone. Postoperative neurocognitive disorders (PNDs) are a known risk in older patients undergoing surgery and anesthesia3PNDs include postoperative delirium, an acute state of confusion and inattention; and postoperative cognitive dysfunction (POCD), a prolonged state of cognitive impairment that predominantly affects higher-level cognitive skills and memory3The stressors of surgery and anesthesia can lead to cognitive decline in patients who may already be vulnerable due to aging and decreased cognitive reserve3It’s also worth noting that up to an estimated 65% of patients aged 65 years and older experience delirium and 10% develop long-term cognitive decline after noncardiac surgery3.

However, these are just possibilities based on the information provided. The patient’s condition should be thoroughly evaluated by healthcare professionals for an accurate diagnosis and treatment plan. It’s important to consult with the patient’s healthcare provider for any concerns.

詳細情報:

  1. com2. academic.oup.com3. jamanetwork.com4. static.cambridge.org5. nhs.uk6. merckmanuals.com7. jamanetwork.com8. bmcgeriatr.biomedcentral.com9. doi.org— 』

 

複数の質問を同時に入力しても大丈夫そうだ。

bingの意見が絶対正しいと断定することはしないようにしている。しかし、カテーテル合併尿路感染症CAUTIでフォーレが入ったまま抗生剤治療しているので時間がかかるのだろうと冷静になれた。もう数日抗生剤治療を行い、退院できそうになったところで退院して、いそいで泌尿器科医を受診してもらうことにした。そこではフォーレの抜去ではなく、入れ換えが行われたようだった。まだフォーレが入っているので、また、熱が出るかもしれない。この患者の場合、直近で2回も発熱時に意識レベルに異常をきたしており、感染を繰り返すことで認知機能に影響を及ぼすことがないか心配である。

認知機能障害に関して、PNDs、POCDという疾患(概念?)があることを知った。これが起きないように予防することが大事だそうだが、あまりよくわかっていない疾患のようだ。内視鏡手術でもPOCDになるのだろうか?bingに聞いてみればよかった。

bingに聞いてみて一般的な診断名にたどり着くより、やはり、こういうよくわかっていない病気(病名)にたどり着く方が、心躍る。関連するreview論文を読んで、疑問が解決しないときの方が楽しい。まだわからないことがこんなにもあるのだと。

超高齢社会における男女関係のマルチステージ化の一例

 最近、在宅酸素を導入し、通院が困難だろうからと訪問診療にした患者がいる。

 その患者の自宅を訪問すると、窓が大きく開かれていて、その小さめの庭にはよく手入れされた植木や草花とちょっと場違いなミニトマトが植えてあった。低い塀の先には畑、さらにその先に蔵王の山並みが眺められる。患者は妻とふたりで庭を眺めながら楽しそうに待っていた。あまりにも穏やかな表情だったので、訪問診療でなくてもよかったかと感じたほどだった。妻は甲斐甲斐しく患者の世話を焼き、奥の部屋から予防接種の書類を探してきたりもした。夫婦でこんな感じで景色を眺めながら老後を過ごすのも良いな、と思いながら、車に乗り込んだ時に事務長が種明かしをしてくれた。奥さんだと思っていた女性は、事務長も良く知っている役場の課長さんの母親で、患者の妻ではないとのことだった。

 翌月に患者を訪問した際もその女性はいた。80歳代の老人がわきに挟んだ体温計が落ちたと言い、その女性が患者の服の中をまさぐってその体温計を取り出してあげる。その動作が、患者も女性もなにか色っぽい。これは、夫婦でないからこうなるのだと合点した。夫婦だったら、軽く「自分で取りなさいよ」と言われて終わりだろう。そうでない何十年たっても色気のある夫婦もあるかもしれないが、かなりレアだろう。ふたりで近くの「仲良し会」に出かけていくとのことなので、隠す必要もない関係ということだ。

 このような例は、他にもある。先日、訪問診療のために病院の駐車場を出ようとするときにゆっくりと前を横切る軽乗用車に乗っていたのは80歳代のカップルだと事務長が説明してくれた。毎日病院の待合室でデートしているのだと言う。

 また、最近ときどき失神発作を起こして来院する患者に心配そうに付き添ってくる女性も別姓で、妻ではない。このカップルはふたりとも少しボケていて、どちらに説明しても理解してもらうのが大変なのだが。

 この人たちは、みんな高齢で、ほとんどが元のパートナーを亡くした人達のようだ。

 それぞれのカップルがどれだけ生活を共にしているのかわからない。また、この町でこのようなカップルがどれだけいるのかわからない。この病院に来るまでは地域医療にそれほど深くかかわってきていなかったので、この町だけ特別多いことなのかもわからない。それぞれがパートナーを早期に亡くしているのだから(そうではない可能性もあるが、そうでなければ皆に温かい目で見守ってもらえる立場にはなりにくいだろう)、妻や夫を亡くして大変な時期もあったろうし、医療を行う側としては、それを防げなかったのかという検証が必要な問題も孕んでいる。

 これらのカップルがどのようにして成立したのか。これは、この年代の人たちの特性なのだろうか。この地域の特性なのだろうか。都市部ではどうなのだろう。アメリカなどの男女の関係が変化し、離婚や再婚が頻繁に行われている国においては、こんなことは常識なのかもしれない、とも思う。

 人の寿命が延びていくなか、「教育」「仕事」「引退後」の3ステージの人生から、それらのうち特に「教育」「仕事」が入り混じったマルチステージの人生への変革を説く論説は多い。男女の関係も当然それに合わせてマルチステージ化が必要になる。ちょっと特殊ではあるが、これも男女関係におけるマルチステージ化の一パターンなのかな、と高齢化の最先端を行く町から言ってみる。

コロナ後遺症(その2)咳と咽喉頭異常感症(迷走神経障害)

コロナ後遺症として咳、息苦しさと一緒に咽喉頭異常感症の症状を訴える患者さんは多い。治療として関わらなくても、いつも痰が絡んでいる感じを言ってくる人は多い。CTを撮影したときに「のどに何かありますよね」と聞いてくる人も一人だけではない。

喉頭異常感症は、「のどに何かつかえている感じ」「いつも痰がのどにあって苦しい」などのどの“閉そく感”を訴えることが多い病気だ。のどの腫瘍や強い炎症、胃酸の逆流、アレルギーなどの異常がないことを確認、または治療することによっても症状は改善しないもの。不定愁訴のように扱われるし、精神疾患に分類されることもある。

前の病院では呼吸器内科医として長年このような咽喉頭異常感症の患者さんと付き合ってきた。以前は、この症状の患者さんたちはそれほど多くなかった。呼吸器内科の外来をやっていて、年に数人程度だったろうか。

喉頭異常感症の患者さんにとってその症状は結構つらいものだ。程度の差はあれ窒息するかもしれないという恐怖と戦っている。正直言って、これらの患者さんの症状をそれほど良くしてあげられたという実感はない。十年以上にわたって外来に通ってきていた患者さんもいたが、少しだけよくなった気がする程度で終了することがほとんどだった。

コロナ後はそんなことではすまなくなってきている。

論文を探すと、コロナ後遺症の6.7%が咽喉頭異常感症(Globus pharynges)があるというものもあるし、下に紹介するコロナ後の慢性咳嗽についての論文では、対象とする患者さんのうち56.3%がGlobus pharyngesだと言っているし、その他の上気道症状も合わせるとほぼ全員が何らかの上気道症状がある。私が多いなあと感じているのは事実なのだ。もう不定愁訴だなんて寝ぼけたことを言っている場合じゃない。何とか効果的な治療を探さなければ(というか、私の他のブログを読んでいただいている方なら、私が何を処方しようと考えているかはお分かりかと思うが)。

ということで、以下の論文。こちらでGlobus pharynges多いよね、何か神経が絡んでいるよねという思いを持って探してくる論文なので、十分バイアスを持って読んでもらってよい。一流誌だが因果関係を言うには難あり。

Patricia García-Vicente et. al. Chronic cough in post-COVID syndrome: Laryngeal electromyography findings in vagus nerve neuropathy. PLoS One. 2023 Mar 30

『単一施設の前向き記述式観察研究。コロナ感染後(オミクロン・デルタ以前)12週間咳が続いている32歳から85歳までの患者38名が対象。各種耳鼻科的な検査と声帯を引っ張る筋肉(甲状披裂筋と輪状甲状筋)の筋電図検査を行った。知覚神経障害を調べる検査法はない。

慢性咳嗽の患者のうちの耳鼻科領域での合併症状は、発声障害(運動神経障害)24名(63.2%)、咽喉頭異常感症(知覚神経障害)20名(56.3%)、喉頭痙攣(運動)4名(10.5%)、嚥下痛(知覚)4名(10.5%)、嚥下障害(運動)4名(10.5%)、嗅覚味覚障害(知覚)4名(10.5%)など。運動神経障害の症状と知覚神経障害の症状が同じような頻度で認められた。全身症状では倦怠感24名(63.2%)が最も多かった。

31.6%の患者で、喉頭鏡で接触時に咳反射が起きないなどの知覚神経障害の兆候を認めた。

筋電図検査(運動神経障害の検査)では、29名(76.3%)が異常を示した。内訳は、慢性脱神経パターン24名(63.2%)、急性脱神経パターン3名(7.9%)、筋障害パターン2名(5.3%)。(本文中にはどのように診断するのかは書いてなかったような気がする)

44.7%の患者が、心拍異常、不安、倦怠感、胃腸症状などの自律神経障害症状を合併していた。筋電図検査で異常を示した患者に多かった。

以上は、咳や咽喉頭異常感症などの原因として、ウイルス感染後迷走神経ニューロパチーが関与している可能性を示している(直接の因果関係を示したものではない。一般的な病因論として)。神経系に対して有効な治療が慢性咳嗽の治療として有効である可能性がある。(慢性咳嗽についての論文なので咽喉頭異常感症に対する治療(の可能性)についての記載はない。)』

コロナ後遺症の患者さんの1年以上続く強い咳に対してリフヌアが効いたのは、病因論的にも正しかったか?

以前に紹介した「inappropriate sinus tachycardia」もそうだったし、何らかの神経系の障害が絡んでいる確率が高い。だとすれば、神経系を保護し、その炎症を抑え、その再生を促すような治療が、動悸や上気道症状、息苦しさなどの症状を訴える患者さんに対しても必要だということになる。